お仕置きゲーム。





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真咲が逮捕されて、もう2週間か。ふと、施設の自室で宿題をしているとき思いだし、眉を寄せた。シャーペンを握る手に力がこもる。

「真咲、」

真咲の事は、名前はでないもののテレビで大きく報道された。それを見た施設の仲間や先生はすぐに真咲の事だとわかったらしい。

真咲の事を悪く言ったり、けなしたりするやつが増えた。施設の先生なんかは真咲の事を悪魔だと言っている。本当は、すっげー良い奴なのに。



誰も真咲の事をわかっていない。それがすごく悔しくて、悲しかった。


むしゃくしゃして、宿題に集中できなくなった俺は乱暴にノートを閉じて椅子から立ちあがった。その時、コンコン、とひかえめにノック音が響く。

「あいてる。」

返事をすれば、キィと音をたてて誰かが入ってきた。


「侑里乃?」


「...わたしのお父さんね、」

「?」

突然話し出した侑里乃を見て、俺は首をかしげる。

「偉い人なの。」「偉い人?急にどうしたんだ?」「お姉ちゃんが殺されたの、すっごく怒ってた。」「...そりゃ、な。」

怒らない親なんかいないだろう。けど、侑里乃が何がいいたいのかわからない。

「何が言いたいんだ?」

率直に聞けば、侑里乃は無表情で答えた。



「お父さんから、メールが来たの。智香お姉ちゃんが死んだから、家族はバラバラになっちゃったんだって。お姉ちゃんを殺した真咲ちゃんが全部悪いから、真咲ちゃんにお仕置きするんだって。」


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