お仕置きゲーム。
侑里乃が落ち着くまで抱きしめたままの体勢で背中をとんとん、と叩いてやる。しばらくすると、侑里乃は俺から離れ、真っ赤に腫らした目でまっすぐと俺を見て来た。
「おと、さん、がね、」
「うん。」
「おしおき、終わったらッ、また、かぞくみんなで暮らそうねって。」
「うん。」
「けどッ、おね、ちゃんは、真咲ちゃんを、まもってって。けいたくんに、伝えてッて、」
「ッ、うん。」
「わたし、どうすればいいのか、わかん、なくて。」
まだ小学生の侑里乃は1人で悩んでいたのだろう。頼れる大人がまわりにおらず、ずっと、ずっと苦しんでいたに違いない。
「けいた、くん。」
すがるように俺を見る彼女を見て、胸が苦しくなった。俺、頼られてる。真咲がお仕置きされれば、侑里乃はまた両親と暮らせる。けど、死んだ姉の智香に真咲を護ってと言われて、どうすればいいのかわからないのだ。
「...侑里乃、」
「...。」
「真咲にお仕置きしても、何も変わらないよ。」「...。」「死んだ智香は帰ってこない。智香の為にお仕置きしようとしてる侑里乃のお父さんは、間違ってると思う。」
俺の考えを、できるだけわかりやすく、まっすぐ伝える。侑里乃は再び瞳に涙をためた。
「それに、智香はお仕置きすることを望んでないだろ?」
「う、ん。」
「侑里乃も、お前の両親もいっぱい辛いと思うけど、お仕置きは繰り返しちゃ駄目なんだ。真咲がしたことは許される事じゃない。でも、アイツはちゃんと前向きに償おうとしてる。」
「ッ、うん。」
「だからさ、侑里乃のお父さんに間違ってるって言わなきゃな。」
「...うん、」