お仕置きゲーム。


警察署に入ると、子どもが1人で訪ねてきたのが珍しいのかすぐに警官が俺に近寄ってきた。焦りで冷静な判断ができなくなっていた俺は必至に説明するが一つも信じてもらえなかった。

まだ俺が子供だから、ただのイタズラと判断したのだろう。呆気なく追い出されてしまう。

「ッ、くそ。」

真咲と面会して事情を話す?いや、今はまだ真咲の正式な判決が決まっていないために面会は不可能。どうすればいいんだろう。


俺1人だけの力じゃ、何もできない。酷く虚しくなり、涙を流す。しばらく呆然と立ち尽くしていると、一台のパトカーが警察署の前にとまった。中から、頭に布をかけられ、手錠で繋がれた男が警官と一緒にでてくる。


「フフ、僕、どうなるの?」「まだわからん。この事件に関しては謎が多い為に、明白になるまで暫くは保護という形で警察が預かる事になった。そのことについての手続きをしてもらう。」「そっか。ねえ、アニメ見てもいい?」「駄目だ。」「メグミの再放送があるんだ。」「...ハァ。」


あの男、見た事ある。

俺はじっと男を見た。智香が殺された事件にかかわっていたはず。ニュースで見た。なら、真咲ともかかわりがあったはずだ。よくわからないけど、男はどこか異常に思えた。


じっと見つめていると、パチ、と視線が交わる。男は俺を見た瞬間口元を緩める。ぞくりと寒気がはしる。




「ねぇ、ちょっとあの子と話がしたいんだ。少し時間が欲しい。いいかい?」「あの子供とか?知り合いか?」


「うん、昔会ったことがあるんだ。あの子、近所の公園でよく遊んでいたんだ。僕の兄さんが彼の事を...ううん、彼らの事を良く話していたんだ。」


今日の再放送は諦めるからさ。と男がつけたせば、警官は溜息をついてから渋々頷いた。
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