お仕置きゲーム。
「ちょっといいかな?」
警官は男の手錠をしっかりと繋ぎ、俺に声をかけてきた。小さく頷くと警官が男に視線を向ける。
「ねえ、メグミって知ってる?」
男の言葉に「は?」と思わず声をあげた。警官は「この男がいうことはあまり気にしないでくれ。」と言う。
「君は、そうだな。たとえるならメグミが最も信頼する友人のアリサだね。」
変な事を言いだした男に思わずぽかんとすれば、男は笑みを深めた。警官は呆れた表情を浮かべたまま、「もう満足だろう。」と声をかける。
「あ、待って。最後にアリサに言いたい事があるんだ!」
「...。」
「君、アニメの36話見た?窮地に立たされたメグミを勇敢にもアリサが、エリート大学卒業の近所のおにいさんと救出しに向かう話。アレには感動したなぁ。」
「もう時間だ!行くぞ!」
「アリサ!君は、すべてを捨ててメグミを救う覚悟はあるかい?」
「静かにしなさい!」
警官は男を強引に引っ張り、俺に謝罪してから警察署に入っていく。
残された俺の頭には、男が言った言葉が残っていた。理由はわからないが、何所か引っかかる。
「俺が、アリサ?」
口にだした途端、なんだか馬鹿らしくなって思わず笑いそうになる。メグミっていうアニメのタイトルは昔聞いたことあるような気がする。