お仕置きゲーム。
償いヒーローと逃亡者
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俺は、怠い視線を目の前にいる、顔だけ母さんに似ているオンナに視線を向けた。
「貴方には一度、裁判所に行ってもらうわ。」
「やっとかよ。」
何回目かわからない取り調べの後に、そういわれた。
「けど、そこですぐに判決がでるわけじゃないのよ。次は鑑別所に行ってもらうことになるけど。」
「...。」
なんだか、めんどくさい。ここでの生活は正直辛い。特にやることもなくずっと何もない個室で過ごしている。飯はマズいし、風呂は汚いし。夜中には他の留置場の奴らのうめき声や泣き叫ぶ声が聞こえるし。寝れない。
「あまり眠れないみたいね。」
オンナはうっすらと俺の目のしたにある隈を撫でた。オンナの表情は、やっぱり母さんに似ていてドクンと心臓が脈打つ。
女の瞳の中にうつる俺は、酷く情けない表情をしていた。
♪~、♪~
取調室にある電話が鳴る。女は俺から離れて電話にでた。会話は気にせずに机に突っ伏してだらけていると、女は会話を終えたらしく受話器を置いた。
「...佐藤君。」
「なに?」
「貴方には、判決はくだされないそうよ。」
「は?」
「...ごめんなさいね。」
オンナは憐れんだ表情を俺に向けた。訳がわからない。判決がくだされない?どういうことだ?