恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
「 お待たせしました。 」
さっきのこともあるし、
今私の精一杯の笑顔を作った。
「 行こうか?
どんなの食べたい?
まあシャレた店なんて
オレは知らないけどさぁ…。 」
その言葉と笑顔に
少し緊張がほどけた。
「 気どらない店がいいです。
そういうところ似合わないから…。 」
「 じゃぁ、居酒屋もあり? 」
「 もちろん、ありです。 」
連れてきていただいた店は
居酒屋でも感じがよくって
気持ちが楽になったのか?
私は語りたくなってきた。
「 荻窪さん…
私…
忘れられない人がいて…
それで…。 」
「 うん。どうした? 」
なんだか
いつになく気持ちよく目が覚めた。
見慣れない天井。
寝心地のいいベッド。
見覚えのないカーテン。
「 一桜里、おはよう! 」
「 おは… いやぁぁぁ。 」
私は飛び起きた。
なんでこうなっているか考えてみるけど、
頭が動かない。
記憶がない!
やってしまったぁ!!
「 すいません…
私…
酔っぱらったんですよね? 」
「 いいよ。別に。
まぁ、かわいかったし。
一桜里の家知らないし…
オレのマンションに
連れてきちゃったけどね。 」
ありえない!
私って、
かなりヤバイ女子かもしれない。
自分の服装を確認してしまった。
何も変化なし、
スーツのまま寝たから…
シワになっているくらい。
あはは…
マジ、ヤバイ。