恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >

「 お待たせしました。 」


さっきのこともあるし、
今私の精一杯の笑顔を作った。


「 行こうか?
どんなの食べたい?
まあシャレた店なんて
オレは知らないけどさぁ…。 」


その言葉と笑顔に
少し緊張がほどけた。


「 気どらない店がいいです。
そういうところ似合わないから…。 」


「 じゃぁ、居酒屋もあり? 」


「 もちろん、ありです。 」


連れてきていただいた店は
居酒屋でも感じがよくって
気持ちが楽になったのか?
私は語りたくなってきた。


「 荻窪さん…
私…
忘れられない人がいて…
それで…。 」


「 うん。どうした? 」





なんだか
いつになく気持ちよく目が覚めた。


見慣れない天井。

寝心地のいいベッド。

見覚えのないカーテン。



「 一桜里、おはよう! 」


「 おは… いやぁぁぁ。 」


私は飛び起きた。

なんでこうなっているか考えてみるけど、
頭が動かない。
記憶がない!

やってしまったぁ!!


「 すいません…
私…
酔っぱらったんですよね? 」


「 いいよ。別に。
まぁ、かわいかったし。
一桜里の家知らないし…
オレのマンションに
連れてきちゃったけどね。 」


ありえない!
私って、
かなりヤバイ女子かもしれない。


自分の服装を確認してしまった。


何も変化なし、
スーツのまま寝たから…
シワになっているくらい。

あはは…
マジ、ヤバイ。
< 105 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop