恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
「 ねぇ、しぃちゃん。
しぃちゃんってさぁ
温和くんのこと好きなんだよね? 」
本を穏やかな気持ちで読んでいるのに!
しかも
朝の挨拶の言葉もかわしてないのに!
それに
みんながいる教室で
そんなに大きな声で
何言ってくれちゃってるの!!
私のちょっとムッとしている顔しているのも
完璧にスルーされてるし…
それでも音彩の話は止まらない。
「 温和くんってさ
公哉の親友なんだよね。
だから今度4人で会うことにしようか? 」
ものすごいスマイルで
私を見てくれちゃってる音彩かは
私がこれから何を言うのかワクワクして
目をキラキラ輝かせて見ている。
「 音彩?
あの… あのね
そういうこと勝手に決められてもさぁ、
困るんですけど…。 」
「 なんで困る?
でも温和くんに会いたいでしょ?
会いたくないの? 」
そんなに朝から強く言われても…
困るんですけどね…。
いつになく強い音彩に驚きつつも
「 会いたいけど…
話してみたいけど…
今はムリ! 」
音彩の彼の親友かもしれないけど、
そういうのを使って会うってイヤ!
温和くんが
親友の彼女の友達だから
会いたくないけど仕方ないから
会うって感じになるのはイヤ!
それだけは絶対イヤなの!