恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
[ 明日駅前に6時だからね。
しぃちゃんが来るまで待ってるからね。 ]
音彩のメールにためいきついた。
来るまで待ってるからね!
この言葉が心に引っ掛かった。
温和くんに迷惑かけたくないから
行きたくなかったけど…。
このままじゃ、
私のワガママで3人に迷惑をかけることになる。
迷惑はかけたくない!
駅前に行って
ちゃんと3人にお断りしてから
一人で帰ろう。
気持ちを決めて駅前に向かった。
5時35分
音彩も公和くんも来てなかった。
なんだかホッとしたのはなんでだろう?
45分
一番会いたくて会いたくない温和くんの姿が遠くに見えた。
遠くでもわかるって恋してるんだなぁ、私。
「 しぃちゃん
ごめん、お待たせ! 」
音彩の声に振り返る
そこには公哉くんも一緒に微笑んでいた。
「 おっ!
温和、ちゃんときたんだ。 」
「 約束だからな。
でも、公哉とだけの約束なら
こなかったかもな。 」
あー、やっぱり、
この笑顔好きだなぁ。
「 温和くん、
このこが、しぃちゃん。 」
「 はじめまして
私、佐屋穏空といいます。
あの…
せっかくみなさんにお会いできたのですが…
申し訳ありませんが、
私のために時間を作っていただいて
温和くんに会えただけど幸せです。
だから、
これで解散にしてください。
今日は
ありがとうございました。 」
「 はぁ? 」
音彩の声が
頭を下げている私の上からふってくる。
「 あの…
佐屋さん…
ハッキリ言って
キミに興味なかったけど…
オレ、今キミに会って
キミのこと知りたくなった。
オレに会えただけで幸せ?
佐屋さん!
もっと欲張りになってもいいんじゃない? 」
「 欲張り? 」
「 そう!
欲張りになりな! 」
「 公哉!
オレ、佐屋さんと二人で話したいから…。 」
私の右手を引っ張り歩きだした。
「 佐屋さん、
オレのこと好きなんだよね?
ならさぁ、
もっと欲張ってオレを欲しがって! 」
「 でも…。 」
私の右手を
ちゃんと繋いでくれて
「 だから、
オレと
よくばりな恋をしようよ! 」
end