恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
誰もいない深夜2時の交差点
ネコ一匹も通っていないのに
それでも信号待ちをしている。
誰もいなくて
静かすぎる昼間と違う顔をした交差点
誰もいない
いないからじゃなく
誰のためではなく
自分のために
大切なことなんだけど
誰もいないのに
それでも…
そんなマジメすぎる自分を
一人笑ってしまう。
笑ってしまっても
誰もいない…
誰もいない!
そう
今
一人なんだよ、私。
私が笑ってしまうと
いつも優しく微笑んでくれた。
いつも隣にいてくれた人は
となりにいない。
夜10時を過ぎたら
一人で外にでちゃダメ!って
いつもうるさく言ってくれてたのに
失ってからわかる!
ってホントだね。
仁順が私の心に
どれだけ大きかったか…
ではなくて
仁順の優しさは
私への愛情ではなく
私以外の愛しい人と
仁順、自分への愛情なんだと
気がついてしまったから…
となりには居られなくなった。
私は
仁順にとって
仁順を守るための
アクセサリーだったのかもしれない。
本当の私が知らなかった仁順を隠すためだけの…。
それならそれで
もっと上手く私をその気にさせといてくれていたら
私はまだ
アクセサリーでいたのに…。