恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >

今夜なんて
何かあるって聞いてなかったし
何のサプライズだろう…
私の誕生日じゃないし
付き合った記念日じゃないし…


でも仁順は
楽しそうにしてるし
この笑顔!
やっぱりカッコイイ!



「 宏愛、急にごめんね。
今夜はね
成の誕生日なんだよ。
人数多い方がいいかなって
賀子ちゃんも誘っちゃったけど
勝手に決めちゃって
ごめん。 」



左ハンドルの
右横顔がいつ見てもステキで
でも成くんの話をしている時は
仁順がかわいく見えてくる。

中学時代からの仲良しだって聞いたことある。
私の知らない仁順を知ってるなんて
ホントに羨ましいよ。



「 そうだ!
ねぇ、
あったかい服装って
どこで誕生日会をするの? 」



「 それはね。
宏愛も驚かせたいから
つくまでのお楽しみに。 」



仁順の笑顔が
なぜか
今の私にとって
悲しい気持ちにさせていた。

涙がでそうな気持ちになっていたのが
自分でもわからなかった。


それからずっと
仁順の右横顔を見ていた。


仁順の目には
私がいないような気がした。



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