恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
「 成!
誕生日おめでとう! 」
「 「 おめでとう 」 」
20歳になったばかりの私たちは
二人がすすめてくれているお酒が
甘くて美味しくて
この海の上
クルーザーのソファでスヤスヤ眠ってしまった。
「 成…
お互いの誕生日は
いくつになっても
約束通り会おうね。 」
「 もちろんだよ
13歳の時から決めてるじゃん。
今年は出会って10年だね。
ありがとう、仁順。
ステキなプレゼントだよ。 」
二人の左手が
なんだが夜なのに
キレイにみえた。
あれ?
なんでかな?
「 宏愛たち、起きるかもね。 」
二人は
その言葉を合図に
左手に触れて
何かを隠すようにキーケースに触った。
「 ずっと一緒だよ、
仁順。 」
二人の距離が…
私は見てはいけないと思い目をそらした。
何秒かして目を開けたときにみえた仁順の顔は
別人のような色っぽさがあった。
私は涙が落ちた。
「 宏愛、
かわいい顔して寝てるよ。 」
「 本当だ、かわいいね。
仁順、手放しちゃダメだよ。 」
「 もちろんだよ。
こんなカワイイ子を放さないよ。 」
放さない?
もう私のとなりには…
あなたは…。
end