恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
今オレの助手席で
ちょこんと座っている
オレの彼女、宏愛がニコニコしながら
オレの横顔を見ている。
「 宏愛って
ホントに小さくって
ハムスターみたいでカワイイよなぁ。 」
「 それってほめてくれてるのかな?
バカにしているみたいに聞こえるんだけどなぁ…。 」
「 ほめてるよ。 」
宏愛のおでこを軽く触れてキスをした。
カワイイって本気で思ってるよ。
でも…
宏愛…
ごめんね。
オレは会うたびに
キスするたびに
抱きしめるたびに
心でつぶやいていた…
ごめんね。
宏愛…
キミを大好きだけど
オレの心にいるのは
キミじゃないんだよ。
オレは大切な人へのプレゼントを
バッグの底に隠している。
一生一緒に時を過ごしていたい!
けど… できないんだよ。
「 仁順、また明日ね。 」
オレは宏愛の自宅前まで車を走らせていた。
無意識でも
ここまで来れることに
ちょっと呆れてしまった。
「 宏愛… またな。 」
いつもと同じ笑顔にしたつもりだった。
「 なんだかなぁ。
私と離れるのに
仁順、嬉しそうだね。
明日教えてよね!! 」
「 何もないよ! 」
ニコッと笑い
宏愛に手を降って
車を走られた。