恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
[ てまり、今週もやっぱ帰れそうにないや。
ごめんな。 ]
金曜日の夜
残業をしながら
てまりにメールした。
仕事は忙しい。
でも作ろうと思えば作れる時間。
それでも地元に帰ることをしていなかった。
[ わかった、仕事だもんね。
身体に気を付けてね。 ]
メールの画面を見てドキッとした。
てまりの泣いてる顔が浮かんできた。
最近のてまりからのメールが
寂しさを一生懸命かくしているのが伝わってきていた。
その画面に
いつもごめんな。
って
つぶやくしかないオレって…。
「安良川さん
仕事終わったら食事しませんか?
いつものとこで待ってます。 」
返事もしないオレに近づいてくる木田さん。
「 なんだか悲しい顔してませんか?
彼女からのメールですか?
ワガママ炸裂メールとか?
そんな彼女なんて忘れて
今夜は飲みましょーよ! 」
オレが無言でいることをいいことに言いたい放題で
携帯の画面を覗きこもうとした木田さんに
「 今仕事してるんだよ。
少し静かにしてくれないか? 」
強めな言い方をした。
こっちに移動になってから
隣のデスクになったからか
何かとオレのまわりをウロウロしている。
木田には気を付けろ!
って
同期の駈上が一緒に飲む度に言ってたなぁ。
オレも
駈上も
オレには大切な彼女がいる!って
伝えてはあるんだけど…
でも
木田から
何か言われたことは
今までなかったが…。