恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
私へのチャンスは
けっこう早くきた。
神様ありがとう!
奈琉世は
親戚のとこで法事があり
2日間学校を休むって!
こんな幸せってあるぅ!
たまに
奈琉世のスマホを覗いていたから
轍さんのことはちゃんと覚えたんだよ
学校、バイト先、シフト、誕生日、メアド、電話番号、住所
もうすべて覚えたんだから。
だから今日は
轍さんのバイト先のカフェに私一人で行くことにした。
近くのデパートで
わざと買い物をして…
ついでにカフェにきた!とね。
それも
偶然よ!って顔をしてね。
楽しくなってきた!
席に通されて
メニューをみて
目だけ動かして轍さんを探した。
2つ隣に轍さんがコーヒーを運んできて
私はわざと軽く手を上げ
「 お願いします。 」
顔を見ずに
「 本日のおすすめケーキセットの
ケーキってなんですか? 」
私はわざとらしく
目はメニュー
顔だけ轍さんへと動かした。
「 本日のケーキはですね…。 」
メニューに顔を近づけて
「 こちらの…
えっ、美来さん? 」
またまた私はわざとらしく
「 えっ、轍さん?えっ? 」
「 オレ、ここでバイトしてるんだ。
えっと美来さんは? 」
「 私はショッピング、ほら! 」
大きな紙袋2つを指差した。
「 それで疲れちゃって…
で、ここを見つけたんです。 」
…
…
空いたお皿を轍さんがさげにきてくれた
「 オレあと30分くらいでバイト上がるけど送りましょうか?
荷物多いしね…。 」
「 えっ?
でも…
甘えちゃおうかな?
足もパンパンだし…
いいですか? 」
轍さんは
この前見て忘れられなかった優しい目で
私を見ていてくれた。
あと一歩だね、私!
心の中でつぶやいた。