恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
「 体調悪いのか? 」
あっくんの手が話しかけていた。
あっくんは
一人でいても
いつも二人でいるんだなぁと
あったかい気持ちになれた。
「 体調は絶好調だよ! 」
「 体調はって?
やっぱりどこか…。 」
「 もう大丈夫だよ!
あっくんスマイル見たら
めちゃくちゃ元気になったからね。
ありがとうね。 」
「 そっかぁ!
ボクが役に立てたならいいや。
でも何かあったらさ
友達なんだから、言えよ。 」
「 ほいっ! 」
教室の窓際
一番後ろの席に歩いていく、
あっくんの背中を見ていた。
こんなふうに
いっくんを見ていたのって、
いつだろう…
最近は隣にいても見てないかも…。
「 きいちゃん! 」
この大きな声は
たぶん私の彼の声。
「 いっくん、おはよう。
ごめんね、先にきちゃった。 」
「 良かった。
きいちゃん今日は休みかと思ったよ。
じゃぁ今日は一緒に帰ろうな。 」
私の返事を聞かないで
いっくんは手を振って自分の教室へ行った。
いっくんの姿が見えなくなったら
私は深いため息をついた。
「 きいちゃん
なんか疲れてるよね…
大丈夫かい? 」
「 かえちゃん…
大丈夫じゃないかも…
あとで話聞いて! 」
「 了解しましたぁ! 」
わざと明るく言ってくれた、かえちゃん。
でも話を聞いてといっても、
きっと言えないと思う。
私の心の底の気持ち。
私は大好きすぎて
いっくんの顔を見ないで大好きと伝えた
一年前…
今日
私は
まっすぐ見て伝えなきゃ。
いっくんのこと好きだけど…
もう…
大好きではないんだと。