恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
オレのことを好きか聞いたことないから
わからないけど…

近所に住んでるから、
親が仲良いからかな?

いつもとなりにいる、
しのぶの手を今日は繋いでみた。

小さくて細い指が
たまらなく愛しく思っていたから。


「 雄大って好きな人いるの? 」


しのぶの一言で足が止まってしまった。


「 しのぶは、いるの? 」


オレたち手を繋いだままで、
こんな会話してるのか?
おかしいだろう?


「 もちろんいるよ!
私は、ずっと好きなんだけど気付いてくれないんだよね。 」


顔を赤くして
オレのいるのと反対方向をみている。


オレは、
オレ以外の男のことを考えているだろう
しのぶの手を思いっきり振り払い


「 オレだって
ずっと好きな女がいるよ! 」


それだけを口にして
しのぶを置いて歩きだした。


なんか情けなかった。

ずっととなりにいたから
しのぶには言わなくても、
オレの気持ちが伝わっていると思っていた。


でもそれは違うんだとわかった今、
あの小さくて細い指はオレ以外の手であたためられてしまうのか?

なんだか情けなくって自分に腹が立った。
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