恋路こいじ〜でんしゃで恋して♪〜< 短編集 >
大切な人が都会に行ってから一年が過ぎた。
また桜の咲く季節になったね。

携帯の待受には
この桜の下で二人の写した写真。
いつも一緒に居られるような気がして。


煌喜の生活をジャマしたくないから、
何もなければ夜一通だけメールをしている。

会いたい!
この気持ちは書かないようにして、
楽しかったことだけをみつけてはメールしていた。


でも今夜
桜が咲いてるのを見たら…
やっぱりガマン出来なくて書いてしまったメール。


[ 煌喜、元気にしてるかな?
会えないのはさみしいけど…
いつも、
どこにいても大好きだからね。
メールでは書けるのに顔みてだと言えないけどね。 ]


送信したあと、
すぐ後悔をした。

さみしい…って書いてしまったから。

大好きだから、
大切な人だから、
一生そばにいたいって思うから…
今はさみしくてもガマンしているんだもん。


遠くで電車の音が聞こえる。

あの電車に乗れば煌喜に会える。
会えるってわかっているけど…


あと何年一人で夜を終わらせたら、
煌喜がそばにいる夜がくるの?

携帯の待受に毎日つぶやいていた。


また桜の咲く季節になって、
煌喜からのメールが毎日届かなくなっていた。
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