キスの相手はあなただけっ!!
「痛っ・・・!」
私は頭を押さえた。
上から何か降ってきた・・・?
うずくまっている私の前に
転がってきた1個の野球ボール。
私はすぐに察した。
これか。
犯人は。
痛いじゃん。
意外と・・・。
「すみませ~ん。」
野球ボールは多分1年の男子が打ったのが
飛んできたんだろう。
私は野球ボールを拾って
後ろから走ってくる男子の方を見た。
「・・・・。え・・・。」
「あ・・・。時澤。」
聖夜だ。
なんで・・・?
なんで聖夜が来るの?
どうして?
「・・・。」
「あの・・・。時澤?
ボール・・・。」
「あ、あぁ!ボールね!
ごめん!」
私はボールを聖夜に渡した。
「ごめんな。大丈夫か?
三杉が打ったボールがとんで
時澤の頭に当たって・・・。」
「あぁ!私なら大丈夫よ。」
「そう?ならいんだけど・・・。
お前の頭は石頭だもんな。」
「なんですって~!」
私達は笑った。
久しぶり。
聖夜とこうして
しゃべったり
笑ったり
冗談いったりしたの。
やっと私の中に
聖夜が入ってきた気がした。
おかえり。聖夜。
「小・野~!ボール!!!」
「おぅ!
時澤。ドッチボール頑張れよ!」
「うん!あんたも野球
頑張りなさいよ!
負けたら承知しないから!」
聖夜はいつもの
私の大好きな笑顔で
走っていった。
「小野と普通じゃん!」
理子がホッとしたように話しかけてきた。
私はその時思った。
あとで野球見に行こう。
「マリア!」
蘭美が内野からボールを投げてきた。
いつもの私なら強い人に渡すけど
今は違う。
私はボールを持って
歩いた。
「マリア!?行くの?!」
「うん。もう私、
逃げない。」
理子にそう告げて
私は力いっぱいボールを投げた。