キスの相手はあなただけっ!!
俺は七海の頭に手を乗せた。

「つらかったよな。
でもそういうすれ違いがあったほうが
よくね?
優太がマリアを好きでも
優太は七海の彼氏だ。
優太はがまんして七海と付き合ってなんかない。
そんなやつじゃない。
だからもっと七海が頑張って
優太一筋でいればいんじゃね?」
「え・・・?」

俺は良いことを言った!と思った。
でもハッとした。
さっき七海って言ってしまった。
七海は顔を真っ赤にして
目を見開いて俺を見ている。

「いや・・・。これはその・・。」
「ふふっ。」
「なんだよ!」
「いいよ。七海ってよんでも。
ていうか呼んで?」
「え・・・。」
「嫌?」
「いやいや!」

俺はあわてて首を横に振った。
七海は微笑んだ。
今度は作り笑いなんじゃない。
本当の笑顔。

「小野~!」

後ろからよく聞く声。

「でた!三杉!!」
「でたとはなんだよ!
でたとは!」

いつのまにか七海はいなかった。

「小野!ニュースだぞ!」
「なんだよ?!」
「なんと!小野が次の1年生の演劇大会の
王子様役になったんだよ!」
「・・・えぇぇぇぇぇぇぇ!」

と驚いたのは俺じゃない。
川原だ。

「なんでお前が驚くんだよ!」

俺は腕を組んだ川原にいった。

「だってこんな顔ダメ。
性格ダメ。
マリアのセンスがわからないって思った奴が
王子様だなんて驚くでしょ!
ていうか驚き通り越して
爆笑に近い。」

川原はお腹を抱えて笑った。
おれのクラス1-1では
演劇大会で『True my heart』という
1-1オリジナルの劇をやる。
この劇の物語は
A国とB国は仲が悪いが
A国の王子とB国の姫が恋に落ちるという
物語である。
まぁ禁断の恋といったほうが正しい。
この演劇大会は2年では行われない。
3年でも。
去年も行われなかったみたいだ。

「川原。そういうこといってるけど
おまえ姫だから。」

三杉が衝撃なことを言った。

「はぁ?
こんなやつと恋におちるとか最悪!」

川原は俺を指差しいうけど
それ、こっちのセリフ。
俺もむりぃぃぃぃぃぃぃ!
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