キスの相手はあなただけっ!!
俺は違うセリフを思いっきりのりのりで読んだ。

「『好きだ・・・。
好きなんだ。
どうしてもどうしても忘れられない。
俺は誰よりもお前が好きだ。』」

俺は自分自身の最高の演技をした。
まわりのみんなは
驚いた表情で見ていた。
すると川原が台本を見ずに続きを読んだ。

「『私はっ・・・!
あなたのことを初めは嫌だと思ってた。
でも!優しくされたときから
あなたをおもうようになってしまった。
あなたが好き!
もうがまんできない!』」

さすがは川原。
記憶力もいんだな・・・。
そしてこのセリフのあとは俺が姫を抱きしめるシーン。
俺は川原を抱きしめた。
その瞬間

「え・・・?」

声が聞こえた。
そこにはマリアがいた。

「う・・・そ・・。」
「マリア!」

川原は急いでマリアに駆け寄った。

「マリア!違うの!
これは・・・。」
「双葉。隠さなくていいよ。
聖夜に告白されたんでしょ・・・?
いいよ。だい・・・っじょうぶ・・・・
だかっら・・・!」

マリアの目からは大量の涙。

「聖夜の・・・・
聖夜のばかぁ!」

マリアはそれを言い残して
その場を去った。
勘違いしてる。
思いっきり勘違いしてる。
おれはマリアを追いかけた。


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