生意気なハケン君
「じゃ……、私も仕事戻ります」






書類を受け取った社員は、

その場で軽く頭を下げてデスクの前から去ろうとする。






「――佐藤さん!」





自分に背を向け去ろうとした瞬間、私は社員を呼び止めた。



相手は目を見開き驚いた様子で振り返り、私を見つめている。









「結婚……、おめでとう」





口元を弛ませ、目を細くしながら相手に言葉を告げると、


彼女は嬉しそうににやけ、

私に頭を再び下げて自分のデスクへ戻って行った。












この会社に勤めて今年で数十年。







バブル絶頂期の中この会社に就職して、


そのまま叩き上げで今の地位を手に入れた。





会社はIT関連事業の会社で、

私が所属するインターネットマーケティング部は、
ネット上での販売や様々な企画、仕入れなどを受け持っている。






ネット販売と言っても扱う商品は、

女性をターゲットにしたファッション関係や小物ばかり。
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