生意気なハケン君
じゃ後は宜しく、と上司が私の横を通りすぎたその瞬間……、


私のお尻に手の感触が。





「―!」





キッと睨むように後ろへ振り返ると、


私に背を向け、逃げるように会議室を後にした上司。





――やり逃げか……。




チッと心で舌打ちをして扉の先を睨む。




そんな私を見ていた男性が、ポツリと呟いた。







「あのオヤジ、こんなオバサンでも女として見てるんですね」








――は?






「俺は絶対ムリだな」





ズボンのポケットに手を入れて、しらっとした顔で独り言のように話す男性。





その白々しい態度と禁句の言葉にムカッときたが、



まだ会社に来て一日目で、

私と喧嘩して険悪ムードの中、共に仕事をしたくない。




私は何とか自分自身を落ち着かせて、彼を再び見上げた。






「……あのねぇ、私は貴方の上司なのよ。口の聞き方ぐらいわからないの?」

「ちゃんと敬語で話してますよ」

「――そういう問題じゃないの。初対面なのにオバサンは失礼でしょ?」





腕を組み私が彼を見上げながら話すと、

彼はばつの悪そうな顔をして私から目線を外した。
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