生意気なハケン君
そして二人の間に暫しの無言が。







――少し強く言い過ぎたかしら。






彼は口元をへの字に曲げ、目線は下に向けたまま。



それはまるですねた子供のようだ。





私は小さく一息つくと、


組んでいた腕をほどき、髪をそのまま掻きあげた。






「ちょっと強く言い過ぎたわね。まぁ……、これから気をつけてくれればいいから」




ここは年上の私が身を引かなければ。



へんなとこ意地を張っても仕方ないわよね。







「じゃ、とりあえず――」

「若作り……」

「――え?」






私が話をしようとした時、

彼が再びボソリと何かを呟いた。


あまりにも小さい声で、私は聞き返してしまう。









「若作りしすぎですよ。オ、バ、サン」








ガンッ!と鈍器で頭を殴られたような衝撃。




その言葉に呆然と開いた口が塞がらない私を軽く嘲笑った彼は、



そのまま一人会議室から出ていった。











――って何なの!?あの若造は!!




こっちが仕方なく気を使ってやったのに!







漸く自分の置かれている状況が理解出来ると、



どうしようもない苛立ちと怒りが全身を駆け巡ってきた。
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