生意気なハケン君
「――はい、申し訳ありませんでした。こちらで確認次第折り返しお電話させていただきますので」

私はそう言って電話を切った。








――夜七時のクレーム。



ちょうど仕事が片付いて、そろそろ帰ろうかなと身仕度していた矢先に、



電話機の外線二番のランプが点滅した。










広い部署は暗く明かりは消され、



私のいる部分の灯りがポツンとついているだけだ。








「……課長、お先に失礼します」

「お疲れ様。遅くまでありがとうね」






クレームの処理を手伝ってくれた部下をデスクから見送り、




とうとう室内に私だけが取り残されてしまった。









――カタカタ……。





私はパソコン画面とにらめっこしながら、


その原因を慌てて探し始めた。






クレームの内容は、



頼んだ物が全く違う別物で郵送されてきたという事。






その原因を見つけて直ちに対処しなければ、大事な客を逃してしまう。




しかもその客は、

何度もうちのネットで購入歴があるリピーターだった。





ただでさえ似たようなネット通販が世の中にありふれているので、




こういったリピーターを逃すと売り上げにも響いてくるのだ。
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