生意気なハケン君
その時、少し離れた場所から物音が聞こえてきた。





パソコンのキーボードを叩く音しか響かないこの室内。




その物音はどこから発しられているか一目瞭然だった。







「課長……、まだ残っていたんですか?」




部署の入り口にある扉がキィと開く音。




そこには帰り支度をした神城が立っていた。







「客からクレームが来てね。それが終わるまでは帰れないわ」






神城をチラリと見つめ、再びパソコン画面に目線を戻す私。




そしてマウスを自由自在に動かしながら、システムの管理状況を調べる……。






「クレームですか?……良かったら手伝いますよ」








神城は再び部署に足を踏み入れ私のデスクに近づくと、


パソコン画面を覗き込みながら言った。







「……いいわよ。派遣の貴方にそこまでしてもらう必要ないもの。早く退社しなさい」






パソコン画面を見つめながら言った私。







もちろん私一人でやるよりも、

誰かの手助けがあった方が何倍も速くクレーム処理が出来る。
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