生意気なハケン君
「貴方ね、トマトぐらい食べなさいよ!」

「――嫌いなんですよ、昔から」






そこはあの行列が出来るイタリアンのお店。




昼時の時間、店は相変わらずの混雑と賑やかさ、そして外には行列。




そんな店内に響く大きな声は、一番角にあるテーブルから……。





「何、三十にもなって甘えた事言ってるのよ。くだらない」

「――仕方ないでしょう。誰にでも苦手な物はあるんだから。課長は四十にもなるのに、彼氏もいないんですね」

「煩いわね!一言多いわよ!」






――ガタンッ!






神城の嫌味に私はテーブルを両手で叩くと、


勢いよく椅子から立ち上がって相手を見下ろした。




そんな私を頬杖をついた神城が、
ニヤリと口角を上げて見上げる。







「課長、周りから注目されてますよ」







その言葉に漸く自分の置かれてる状況に気付いた私。



神城から流し目で店内を見つめると、



客や店員が、私達が座るテーブルを唖然とした表情で眺めていたのだ。








「目立ちたがりやなんですか?課長って」

「……」





クックックッと肩を揺らしながら笑う神城に、




私は顔を真っ赤にして俯く事しか出来なかった。
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