生意気なハケン君
同僚も親友も誘わず、



一人でグラスを傾けぼんやりと物事を考える時間は、

自分にとって何よりも大切な一時だったのだ。






「同窓会からずっと気になってたんだ」

「――へぇ。私も知ってる人?」





彼は遠い目でどこか一点を見つめながら小さく呟く。


私はその隣で横顔を見つめながら返した。







「実は……」








その瞬間、彼と私の目線がぶつかり合う。





――ドキッ!






目線が合った瞬間、心臓が大きく飛び跳ねた。




彼の真っ直ぐな瞳に吸い込まれるように、目線が外せない。



あんな至近距離で男性に見つめられるなんて、

今の生活じゃまずあり得なかった。






「……」




顔を林檎のように真っ赤にして、
返す言葉も浮かばないぐらい動揺する私に、


彼は目を細めながらこう言った。







「二人きりになれるところ、行かないか?」
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