生意気なハケン君
酒の酔いが回っていたのか。

相手の勢いにおされたのか。





それとも女としての自覚が欲しかったのか……。









バーで飲んだ後、

個室のある店で食事をし、そのままホテルへ行った。




今までの私だったら、易々と自分の体を男性に預ける行為なんて絶対しなかったのに、




あの時は何故か無性にあの出会いを簡単に捨てきれなくて、


どんな形でもいいから彼と関係を持ちたかった。







「……高校の時から、ずっと気になってたんだけどなかなか話すキッカケがなくて。同窓会で遠藤に会った時、運命を感じたよ」







事が終わって、彼に腕枕をされながら胸の中で聞いた言葉。





久しぶりに感じた男性の体温や温もり。




自分の中で忘れかけてた愛される事の意味を、彼が再び思い出させてくれる。






仕事ばかりに情熱を燃やして、

恋なんかもう出来ないと思ってた三十二の私。
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