キミが笑うその日まで
そんなある日のことだった。
「高橋さん、悪いんだけど文化祭の劇のキャストになってくれないかな?」
私は九月に行われる文化祭でする劇のキャストになってくれと頼まれた。
私の学校の文化祭は一年生は合唱コンクール、二年生は模擬店、三年生は創作劇をすることになっている。
創作ってことだから台本も衣装もメイクも演技も全て自分たちで考えて作る。
そして今回、私たちのクラスはちょっぴり切ないラブストーリーを目標に劇の準備を進めてきた。
そんなラブストーリーに恋愛に縁がない私が出演するなんて…
「マジ頼むよ。もう高橋さんしか頼りにならないの。ね?いいでしょ?」
「…ぅん」
ホントは乗り気じゃなかった。
でもここで断ると、きっと嫌われる。
そう思って私は渋々引き受けた。