一枝の寒梅




始まりはとても些細なこと。


わたしの母が武市さんに言ったあまりにも頓狂な言葉がこのきっかけとなった。




「富子も一九歳よ。早く婚姻でもして私を安心させて欲しいわぁ。それに可愛い子には旅をさせろって言うじゃない?」



「――それなら、僕が富子さんを貰いますよ」





そう、武市さんのこの一言がすべての始まり。







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