一枝の寒梅
一番奥の座布団に二人そろって腰掛ける。
なんとなく落ち着かなくて、ちらっと武市さんに目をやる。
女の人でもうらやましく思うような、腰まである長くて綺麗な少し色素の薄い茶色い髪。
静かに前だけを見つめるまっすぐな瞳は切れ長でスッとしていて大人っぽくてつい見入ってしまう。
そして、うっとりするような色白の素肌。
美形で、全体的に中性的な顔立ち。そして何より‘‘美しい‘‘という表現が彼には似合う。
わたしが知るかぎり彼の性格は、清廉潔白。
心や行いが清く正しくて、まさに篤実。
彼を不満と思う要素はひとつもない。
けれど、後ろ髪引かれるような。
そんな気がしてたまらないのだ。
――きっとそれは……そう。
あのお方のせいだ。