貴方の瞳に恋をした





俺の口から出たのは咄嗟の嘘だった

「…すみません、名前を度忘れしてしまって
顔写真を見ればわかると思います」

それを聞いた前国王は
少ししょんぼりしたように見えたが
すぐに気を取り直して

「わかった…
後で写真付き名簿を部屋に届けておく
今日も疲れただろう?早く休みなさい」

とポーカーフェイスになった

「そうですね、では失礼します」

こんなつまらない会話でも
親父が俺に感心を持っていることを
素直に嬉しく感じた

昔はこんなに話したことがなかったからだ





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