彼はくせっ毛君



「…何?」




あみの口から“華泉一家”が出てくるなんて…。





あみは私の前の席に座り、窓を見た。





「美凪、私全部聞いた。」







………え?

全部?


誰に?





「な、何を………?」




あみの視線は窓から私に変わる。




「くせっ毛君、婚約者いるんでしょ?」




…ドクン




……………。



なんであみが知ってるの…?





「あのさぁ美凪。」



「う、うん…」






「あんた最初、くせっ毛君、見られるだけで幸せって言ってたよね」







「……………うん。」




そうだ。


この前までは、名前も知らない人だったのに…。




「なのに、最近美凪、変だなって思ったんだ。」



「……え?」






「美凪、数日間でくせっ毛君と何があったか知らないけどさ、




私、美凪の親友だから。だからさ、言いたくなかったら言わなくていいけど、あたしの事も頼ってよ。」





…………………あみ…

私の事心配してくれたんだ…





「ありがとう…あみ」




こつんっ



「いだっ!」


あみのデコピンいたいよ…。



「もう!美凪らしくない!…いい?大体、婚約者なんてお互い好きなのかも分からないのに婚約するんでしょ!?」




「え……?」



「そんなの、勝手に親が決めたんでしょ?」





「う、うん…」




そうだよね?
槙斗君、婚約者って聞いて驚いてたもん。




「あたし、くせっ毛君ならそういうの反対しそうだけどなぁ…」




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