猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
なんたる不器用さ、もしかしたらレインのでまかせにしても――ルカの気持ちを一番に知るのはミカエルでなくてはならない。
信用してこその愛情であり、信頼してこその愛情表現。まだ不安な気持ちがあっても、いつもと変わらずに普通でいるルカを前にしては気持ちの先走り、余計な心配とも客観的に感じられ、ミカエルも落ち着けた。
もとより、ミカエルを不安にさせまいとするルカの心遣いでもあるかもしれないが。
「それに、あちらから腕利きの者が私の護衛につくそうだからな。行きも帰りすらも護衛に回るそうだ。身内がいれば、そう相手も迂闊な手は出せないだろう」
一人ではないことには安心したが、それでも自国からの護衛ではなく、他国からの者であるのが気になった。