猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
だとすれば、昨日の内にあちらの護衛は来たことになるが。
「ええと……、いつ頃来るとかは?」
「知らん」
「連絡入ったんでしょー?今日の何時ぐらい――少なくとも、昼には出発しているだろうし、もう来てもいいんじゃない」
時刻にして午後七時。
道のりは険しいとまでは行かないものの、獣やら賊やらが溢れる森も道中にあるのだ。安全を考慮して、昼間の内に――いや、頭がいいならば朝一番に来てもいいが、何にしても夜になっても来ないのはおかしな話だった。
ルカとてあちらの状況までは掴めてないも、ただ一つだけ分かるとすれば。
「何を勘違いしたか。護衛の者が、予定よりも早く、勝手に出てしまったらしいがな」
早くの中身が勝手に、とはとんだ間抜けか、もしくは本当に勘違いしたかのどちらか。