猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
ピンクの髪で左右の目の色が違う、印象にして見れば大きく残る可愛らしい子だ。
くりくりした目が、レインの背後にいたミカエルたちに目を置き、どこかはしゃぐように「失礼しまーす」と頭を下げながら入ってきた。
一応は礼儀を守っているにしても、姿勢は軽い。ルカの前でこうも無礼講なのは階級が上の者だけだが――明らかなる一般人にはルカの威圧感が効かないらしい。
何だ、これは。と不愉快そうな目をするルカに代わって、ミカエルが少女の前に出た。
「あ、あの、どちらさまでしょうか。軍に所属する者以外、ここには入れないはずですが」
「えー、ここでも疑われるんですかー。受付とかでも怪しいからとかで通るの苦労したんですよ。もー、こっちは仕事で来ているのにー」
ここまで来るのに苦労したとどこかご立腹らしいが、下が通したならば結果的に怪しい者ではないんだろう。