猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


「まあいい。出立は明後日の朝だ。街の宿にでも泊まっていろ」


「はーい。そうだっ、ルカ様。これ、つまらないものですがー」


菓子折りだと分かる箱を取り出したエレナ。ルカに渡すよりはミカエルならば受け取って貰えると判断したらしく、菓子折りはミカエルの手に。


「わざわざ、ありがとうございます」


「いえいえー。間違って早く来ちゃったもんだから、来る途中の街で観光してたんですよー。エレナも食べて美味しいと思えたものなんで、オススメですよー」


「観光ってまた呑気だねー。だから来るのがこんな時間になっちゃったのか。危ないなー、夜の森を抜けるだなんて。襲われなくて良かったよ」


「襲われましたよー」


さすがのレインもまさかの言葉に、出かけの声を奥に引っ込めた。


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