猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
故の犠牲。
生きようが死のうが、ただ危険な道に放り込める駒だ。
「ルカ大佐に、何かあったら……。っ、せめて、私も同行してルカ大佐の……!」
前に出てアピールするミカエルに、上の思惑など関係なかった。
尊敬する上司、敬愛し、愛情さえも持ち、同時に愛してくれた唯一の人。
我が身構わず、危険だろうとも、ルカのためなら死ぬのも怖くないとミカエルは目で必死に訴えたが――当の人はこちらさえも向いてくれない。
「ルカ大佐……!」
失うかもしれない危機感と話すらもまともに聞いてくれない寂しさから、ミカエルの声は絞り出した慟哭めいていた。
ルカがやっと顔をあげるが、別段、無表情で、これから危機が訪れるとも思っていないようだった。