猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


危機に疎いではなく、危機があろうとも対処できるという達観した顔だ。


確かにルカの戦闘経験と戦い慣れを組み合わせれば、並みの奴らにルカをどうこうできるわけもないが、誰も味方がいない他国という武力に呑まれてはひとたまりもないだろう。


「あまりにも危険です……!何かあってからでは遅く、何かが起こる際には私が盾となって――」


「同行者はいらない。こちらから行くのは私だけだ」


端的な口調にミカエルはつっぱねようとするも、背後からやれやれぇと呆れた声が流れてきた。


「ルーちゃん、もっとさー、優しく言いなよ。そんなんじゃ、ミーちゃんの心配拭えないよー」


どうでも良さげながらの助言をしながら、ソファーに項垂れるレイン。事の次第を聞いた上で、レインは中立に立った。


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