猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
「いや、まだ足りない」
頑張ったとしても少ないとルカはエレナの目を見た。
「次代の王を――もう欲で安易に戦争を起こすような王にするな」
思わぬ言葉にエレナの目がぱちくりと――困惑しつつも、ルカが何を言わんとするか悟った。
「任せてくださいっ、必ずエレナがついた人を王にしますから!」
守護者として、未来の王の守り手として、相応しい方を必ず玉座まで送るとエレナは誓う。
「その時は、プレゼントしてくださいね」
首を傾げて言って見せたエレナは小動物めいていた。しかし、顔や髪に血がついてはそのポーズも台無しになる。
「いいだろう。約束する」
エレナの頬についた血を親指で拭う。まさかのことに硬直するエレナを取り立てることもないとルカは一瞥しただけで背を向けた。