猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
肩を掴まれた手をミカエルは払うも、してやったりな邪気ある笑顔は消えずに、ルカにしても顔を更に強張らせる。
ここでまあまあと仲裁に入るのがミカエルの役目だったりするも、こんな時は大概、ルカがレインに図星をつかれた時だ。
でなければルカは相手にもしないし、冷静沈着(ポーカーフェイス)を崩すわけもなかった。
心情をもろにつつかれ、土足で踏み込まれば無感情のままではいられない。些細にしても、いつものルカにしてみれば大きく思えたし。
――この時点での図星となれば。
「私を心配して……」
「必要ないだけだ。私の仕事の処理もお前にしかできないからな。ここでやれることをしていろ」
相変わらず冷たくも、その裏にある想いが分かってしまった今ではその突き放し方もミカエルのためにと温かさが含まれて見えた。