さくら色 〜好きです、先輩〜
「これでよし!っと」
「……」
「あの?先輩?」
彼女は俺の顔を覗き込むようにして、首を傾げた。
ぼーっとしていた俺の視界いっぱいに彼女の顔が映る。
大きな黒目とほんのり赤い滑らかな頬、ぷっくり膨らんだ唇…
「…っ…あ、ああ。サンキューな」
彼女は「帰ったらちゃんと消毒してくださいね」と微笑んだ。
その後すぐに恭介が来て、二人は仲良く歩いて行った。
俺…どうしたんだろ。
心臓の鼓動がさっきよりも速くなってる…
一瞬…彼女に触りたいって思った。
俺、ただの変態じゃん…
葵って言ってたっけ。
どんな子なんだろう…
その日は帰ってからも彼女のことばっか考えていた。