さくら色 〜好きです、先輩〜

部室のドアの前に立ち、ドアノブを掴むと瞼を閉じた。

そして心の中で「ありがとな」と呟き、ゆっくりとドアノブを捻った。


「…っ!」


ドアを開けると、目の前にお茶のペットボトルと手紙が置いてあった。


「西原さん?」


俺は急いで手紙を開けた。


〜〜〜〜〜〜〜

ここに来れば先輩がいるような気がして来たけど、今日は帰ります。

大会、お疲れ様でした。
ゆっくり休んで下さい。

今日の先輩、今までで一番かっこよかったです。


西原

〜〜〜〜〜〜〜


一粒の涙で文字が滲む。

手紙とペットボトルを握り締め、声を押し殺して泣いた。




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