さくら色 〜好きです、先輩〜

「目撃者は、暗くて顔は見えなかったと言ってる。だけど君と同じエナメル鞄を持っていたと証言してる。心当たりはないかな?」

「……」

「心当たりがあるから自分で足を滑らしたと嘘を言ったんじゃないのか?巻き添えになった小学生もいる。その子のために教えてくれないかな?」

「…すみません。本当にないです」


俺は最低だ。

小さい子を巻き添えにしておきながらもまだ夏樹を庇うなんて…


「あの…巻き添えになった子は…」

「ああ、幸い腕の骨折だけですんだ。検査でも異常はなかったし数日前に退院したよ」

「そうですか…良かった」


本当に大変なことにならなくて良かった。




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