さくら色 〜好きです、先輩〜

数週間後、俺は退院した。

久しぶりに部活に顔を出すと夏樹が俺のポジションでレギュラーとして練習していた。

夏樹はまだ仲が良かった頃のように顔をクシャクシャにして笑っている。


何笑ってんだよ…

なんでそんな楽しそうにしてんだよ…


そんな夏樹を見てふつふつと怒りが込み上げてくる。


俺は何を期待していたんだろう…

夏樹が反省してるのを?

謝ってくれるのを?


違う。

俺が好きだった夏樹に戻ってくれるのを期待してた。

だけど昔の夏樹はもういない。


少しでも信じようとした馬鹿な自分に腹が立った。




< 120 / 499 >

この作品をシェア

pagetop