さくら色 〜好きです、先輩〜
「桜井、退院したのか」
「監督、ご心配お掛けしてすみませんでした。あの…夏樹は…」
「ん?ああ、向井を桜井のポジションに入れたんだ。その怪我じゃ、すぐに復帰は無理だろう」
「そんな…ですが!夏樹は俺を…「「それ以上言うな!!」」
監督は俺の言葉を遮り、気まずそうに目を逸らした。
「知ってる。向井が桜井を歩道橋から突き落としたことは…事件の後すぐ、向井の父親が校長と俺の所に来た。向井の父親が何をしてる人か知ってるか?」
「…知りません」
監督は俺の目を見て言った。
「政治家だ。あの外務大臣の向井源次郎だ」