さくら色 〜好きです、先輩〜

「向井の父親は学校に多額の寄付金をしてる。つまり…」


監督はその後の言葉をなかなか言い出せないようだった。

でも、俺はすぐに悟った。


「いいです、もう…言いたいこと何となくわかりましたから」

「桜井…」


大人の世界は汚い。

世の中はお金じゃないなんて言いながら結局お金を持ってる人の方が強い。

お金を散らつかされれば簡単に人を裏切り見捨てる。


「すまない…事件のことは校長の指示で口外してはならないということになった。今回の事を知ってるのは校長と俺とサッカー部員だけだ。もし外に漏れるようなことがあれば寄付を打ち切ると…」


監督の声が震えてるのがわかった。


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