さくら色 〜好きです、先輩〜
俺は三ヶ月後、地元の高校に転校した。
リハビリは生活をする上での最低限しかしてない。
今は問題なく歩けるし、少しなら走れる。
それでいい。
今の俺じゃ、リハビリに耐えられないと思う。
今、俺が生きてる世界は闇のように真っ暗で出口が見つからない…
ふと西原さんの言葉が頭に浮かんだ。
“やっぱり楽しそうにサッカーして瞳をキラキラさせてる先輩の方がいいです!さっきみたいに”
こんな俺にもまだそんな顔が出来るんだ…
今日の練習試合を渡り廊下から見てた時、久しぶりに胸が踊った。
もう一度サッカーがしたい。
心の奥底に閉まった想いが一気に溢れ出してきた。
だけどすぐにあの事件が頭に蘇ってくる…
今でも何回も何回も夢に見て、夜中に汗だくで目が覚める。
西原さんは俺の光だった。
彼女が俺の闇の出口を照らしてくれるだろうか…
窓から見える月は欠けていた。
まるで俺の心のように…
*奏人side*終*