さくら色 〜好きです、先輩〜

「先輩!!」


先輩はサッカーボールを足で止め、ゆっくりと振り向いた。


どうしてかな…

ほんの数秒目が合っただけなのに、先輩への想いがどんどん積もっていく。




「あれからどう?」

「へ?」


私が先輩に駆け寄ると、直様先輩が口を開いた。


「嫌がらせ。なくなった?」

「あ!はい!その節はありがとうございました」

「別に、ただああいうの嫌いなだけだから」


あの時と同じセリフを言うと、いとも簡単に足でボールを掬い上げリフティングを始めた。


「何か用?またサッカー部のこと?」

「いえ、そうじゃなくて…私、球技大会でサッカーになっちゃったんですけど…先輩!私にサッカー教えてくれませんか?」


先輩は突然のことで驚いたのか、目を見開いている。





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