さくら色 〜好きです、先輩〜
手首に感じるのは、先輩の力強い手の温もり。
「違うから…」
真っ赤になった目鼻立ちが整った顔。
熱く揺れる瞳。
「西原さんが悪いわけじゃない。ただ…こんな顔、見られたくなかったから…」
掠れた低い声は、聞き惚れてしまうほど色っぽい。
先輩の早くなった心臓の音が聞こえてきそうなぐらい、先輩から緊張が伝わってくる。
私の心臓も先輩に同調するかのように激しく鼓動を始めた。
「あんな風に言われるの慣れてねえから… ごめん、あんな言い方して」
先輩は掴んでいた私の手首を離し頭を下げた。
「いえ…だだだ、大丈夫です」
先輩に掴まれてた手首が熱を帯びてジンジンと疼く。
その熱を感じる度に胸が締め付けられて無性に涙が出そうになった。